「妖怪製造装置の技師、もしくは絵描鬼」柳生忠平

「絵描鬼」として、妖怪たちとまじわる時間のつみかさねのなかで、わたしの妖怪観はおおきく変容しつつある。かつてのわたしにとって、妖怪というものは、憧れであり表現方法であった。どちらかというと、妖怪たちは、アートにかかわる自分の思いを表現し、かわりに演じてもらう想像力の器だった。
けれどもいまは、目にみえない「モノ」たちが呼ばわる声にこたえて、あたまのてっぺんからつま先まで全身これ一本の筆となり、ただひたすら妖怪のすがたを描きつづけることが使命だと感じている。またそれこそが、絵描鬼であるわたしの至福の悦びである。
妖怪を描くという営みに、どのような意味があるのかと問われれば、かえすことばはみつからない。妖怪絵というジャンルは、現代の文明社会のなかで、なにか役にたつことがあるだろうか。わたしには、わからない。ただ、直感的に理解しているのは、自分たちがいまを生きるこの列島の文化から、かれら目にみえないモノの存在をなくしてはいけない、ということだ。わたしはただ、いわば絶滅危惧種である妖怪たちに、絵図という視覚的なかたちをあたえることで、日々の暮らしのなかで、人びとがかれらの気配をすこしでも肌で感じられるようにしてみたいと、ねがっている。
「妖怪製造装置」というものが実在するのではないか、というのがわたしのアイデアである。それは、妖怪をはじめとする目にみえないモノたちをこころからうやまい、あつく信仰してきた人類の歴史という時間、またそうした存在を夢見る人びとの頭脳のなかにかくされてある。他界とかドリームタイムとよばれる非現実の世界と現実の世界のはざまから、母胎としての妖怪製造装置の出入り口が、現代のみなれた日常の空間へとぐにゃりとつきだしてくる。そこから、「タネヒト」「ツクモガミ」「人面」「百鬼夜行」といった、わたしが連作シリーズで描く、八百万(やおよろず)の異形の妖怪たちが産みだされ、増殖するのである。
小豆島は、八十八か所の霊場をめぐるお遍路の信仰がいまものこる、不思議な気配ただよう霊性の島である。海上の道をながれながれて小豆島に漂着した異人や来訪神やまれびとも、これからのわたしのテーマになるだろう。わたしは、妖怪製造装置をあやつる一技師でありたい。この島に生まれ、この島に根をおろす絵描鬼として、アートという職人技をつうじて、小豆島につたわる妖怪やカミガミの民俗の蒐集もふくめ、忘れられてゆく目にみえないモノたちの復権にもてる力をつくしたい。
Chubei Yagyu
I like to call myself a yōkai artist. Yōkai is a Japanese term for preternatural creatures used in Japanese folklore to explain strange, supernatural or unaccountable phenomena. They have been used as motifs for toys and pictures since the 1600s and are often found as characters in popular manga or anime. Originally, however, I think that yōkai were closely linked to the night and darkness.
In a world without electric light, Japanese people feared what lurked in the darkness, sensing things with potentially dangerous powers in the night or in strange occurrences. Just as they associated light with the divine and worshipped it, they were likewise awed by darkness and aware of invisible movement within it.
Yōkai have been depicted as enemies of light, bringers of harm or simply as pranksters. Personally, I wonder if they aren’t some kind of messenger.
They attract me and also shape and inspire my means of expression.
  • 沿革
  • History
1976
香川県小豆島に生まれる
1998
宝塚造形芸術大学卒、叶匠寿庵にて和菓子の販促物パッケージのデザイン等に関わる
2005
絵描鬼宣言
2006
個展「忠平の妖怪絵展」(小豆島 オリーブの島郵便局)
個展「柳生忠平の妖怪絵」(京都 ギャラリー青い風)
2006.11
~2007.2
「旧坂出警察署お別れプロジェクト」(香川県坂出市 旧坂出警察署)
2007
個展「化々」(銀座 ギャラリー青羅)
2008
個展「宴怪」(京都二条 雨林舎)
2009
個展「宴怪」(東京 アトランティコギャラリーSHIBUYA・亀福)
2010
企画展「絵描鬼 柳生忠平展」(高松市塩江美術館)
イベント「いただきさんアート号 – 柳生兄妹」(高松市 中央商店街)
個展「宴怪」(大阪 ギャラリーあしたの箱)
個展「宴怪」(高松市 sottoprodotto)
2011
個展「雨日和」(京都二条 雨林舎)
企画展「妖怪絵図展」(高松市 TAG)
2012
グループ展「地平線」(中国上海 雅巣画廊)
2014
個展「百鬼創造」(南青山 Triplet)
2015
個展「百鬼楽楽」(六本木 ストライプハウスギャラリー)
個展「柳生忠平展」(台湾 綠光+marüte)
2016
個展「隠シ里」(六本木 ストライプハウスギャラリー)
2017
個展「妖怪絵圖 まつろわぬものたち」(六本木 ストライプハウスギャラリー)
個展「妖怪絵図展」(台湾 田園城市ギャラリー)
個展「妖怪製造装置」(京都 京都場)
1976
Born on Shodoshima, an island in Kagawa prefecture, Japan.
1976
Graduated from Takarazuka University of Art and Design
Worked for Kanoshojuan Co. Ltd., a Japanese confectionary, designing packaging.
2005~
Artist
2006
Solo Exhibition: Chubei’s Yōkai Exhibition, Kagawa
Solo Exhibition: Chubei’s Yōkai Pictures, Kagawa
Nov. 2006
~ Feb. 2007
Event: Sakaide Police Station Art Project
2007
Solo Exhibition: Bakebake, Seira Gallery, Tokyo
2008
Solo Exhibition: Enkai, Urinsha, Kyoto
2009
Solo Exhibition: Enkai, Atrantico Gallery SHIBUYA/KAMEFUKU, Tokyo
2010
Solo Exhibition: Ekaki Chubei Yagyu, Takamatsu city Shionoe Art Museum, Kagawa
Event: Itadakisan Art gou – Yagyu brother&sister,Kagawa
Solo Exhibition: Enkai, Gallery Ashita no hako,Osaka
Solo Exhibition: Enkai,sottoprodotto, Kagawa
2011
Solo Exhibition: Amebiyori, Urinsha, Kyoto
Group Exhibition: Youkai pictures exhibition, Tokiwa Art Gallery, Kagawa
2012
Group Exhibition: The horizon, Yard Gallery, Shanghai China
2014
Solo Exhibition: HyakkiSozo, Gallery Triplet, Tokyo
2015
Solo Exhibition: Hyakki Rakuraku, STRIPED HOUSE GALLERY, Tokyo
Solo Exhibition: CHUBEI YAGYU, Ryokkou+marüte, Taiwan
2016
Solo Exhibition: KAKUSHIZATO, STRIPED HOUSE GALLERY, Tokyo
2017
Solo Exhibition: MATSUROWANUMONOTACHI, STRIPEDHOUSEGALLERY,Tokyo
Solo Exhibition: Chubei’s Yokai, gardencity bookstore gallery, Taiwan
Solo Exhibition: Yokai Manufacturing machine, Kyotoba, Kyoto